にくきゅう堂(旧:くすりペットナビ)の編集部によるコラムです。ペットのお役立ち情報を発信しています

ネクスガードスペクトラの死亡件数や事例- 安全に投薬はできるのか

ネクスガードスペクトラは安全性の高いフィラリア予防薬ですが、8年間(2016年〜2023年)で約10件の死亡事例が報告されています。

投薬と死亡の時期が近いものの、因果関係は証明されていないケースがほとんどです。

投薬時に既に犬が病気をもっていたり、他の薬と併用していたりするため、ネクスガードスペクトラが直接的な死因となっているのかは獣医師でも判断できていないのが実情です。

この記事では、ネクスガードスペクトラの死亡事例や安全に投薬できるのかを解説していきます。

ネクスガードスペクトラの死亡事例

以下では、全種類のネクスガードの死亡事例(2016年~2023年)をまとめています。

【ネクスガードスペクトラ11.3】

死亡時期犬種既往歴・健康状態死因
2016/05/20ポメラニアン(オス)僧房弁閉鎖不全症(ACE阻害剤を使用)投薬と死亡の関連性は低い
2016/06/15トイプードル(メス)脊髄軟化症(椎間板ヘルニアが主な原因)投薬が死因とは考えにくい
2019/09/10雑種(メス)2019年5月~7月モキシデックを投与投薬と死亡の関連性は不明
2021/04/25トイ・プードル×マルチーズ(メス)譲り受けた犬
既往歴、投薬歴は不明
投薬と死亡の関連性は不明

※参考:動物用医薬品等データベース11.3

【ネクスガードスペクトラ22.5】

死亡時期犬種既往歴・健康状態死因
2016/05/17ミニチュア・ダックスフント(オス)診察しておらず既往症も不明投薬と死亡の関連性は不明
2018/11/24マルチーズ(メス)健康死亡までの経緯は不明
2019/06/26ペキニーズ(メス)健康状態は不明嘔吐の際の胃液や粘液等が咽頭に溜まり窒息死?
2021/09/28チワワ(メス)健康
14歳、心疾患及びクッシング症候群
投薬後、体調急変
関連がある可能性
2023/03/23シェットランド・シープドッグ(メス)コリー犬及びその系統の犬種関連がある可能性
コリー犬への安全域が狭い

※参考:動物用医薬品等データベース22.5

【ネクスガードスペクトラ45】

死亡時期犬種既往歴・健康状態死因
2019/05/21ポメラニアン(オス)下痢やふるえ症状で来院経験はあり投薬と死亡の関連性は不明
2020/07/13雑種(オス)フィラリア陽性ミクロフィラリア殺虫によるショック症状の可能性?

※参考:動物用医薬品等データベース45

【ネクスガードスペクトラ90】

死亡時期犬種既往歴・健康状態死因
2016/09/02雑種(メス)2016年4月~毎月ネクスガードスペクトラを投薬しており、その際は問題なし投薬と死亡の関連性は低い

※参考:動物用医薬品等データベース90

【ネクスガードスペクトラ180】
死亡の報告なし
※参考:動物用医薬品等データベース180

上記の死亡事例を見ると、投薬時にすでに健康状態に問題があったり、他の薬を併用したことで急激に体調が悪くなったりと、ネクスガードの投薬が死亡要因と断定できるケースは少ないです。

ネクスガードスペクトラが直接的に死亡に起因したのか、他の要因と重なり死に至ったのか、関連性や原因を専門家でも特定できていないのが現状です。

ネクスガードスペクトラを投薬してはいけない犬

ネクスガードスペクトラの使用は、コリー犬及びその系統の犬種、老犬、妊娠している犬、病気を持っている犬、フィラリア陽性の犬には避けるべきです。

上記の犬に対して投薬すると副作用が出るリスクが高く、最悪の場合、死に至るケースも報告されています。

ネクスガードスペクトラの公式文書にも、コリー犬及びその系統の犬種への安全域が狭いことが報告されています。

フィラリア予防を始める際は、獣医師のもとでフィラリア検査を行い、健康状態を確認した上でネクスガードスペクトラを投薬するようにしましょう。

ネクスガードスペクトラは安全なフィラリア予防薬

死亡事例だけを見ると安全性について心配になりますが、ネクスガードスペクトラは動物病院でも処方される定番のフィラリア予防薬です。

多くの飼い主がネクスガードスペクトラを使用していることを考えると、死亡件数が8年で10件はかなり死亡確率も低いと判断してもよいでしょう。

他のフィラリア予防薬の死亡件数に注目しても、ネクスガードスペクトラと同等の死亡件数が報告されています。

犬の健康が確認されている場合には、安心してフィラリア予防薬を投薬できます。初回の投薬前は必ず動物病院で検査を受けるようにしましょう。

ネクスガードスペクトラの有効成分や副作用

ネクスガードスペクトラの有効成分には、「アフォキソラネル」と「ミルベマイシンオキシム」が含まれています。

「アフォキソラネル」はイソオキサゾリン系の駆虫薬で、ノミやダニを効果的に駆虫します。「ミルベマイシンオキシム」は、フィラリアや疥癬、鉤虫、回虫、鞭虫などを駆除するミルベマイシン系の駆虫薬です。

上記の有効成分は、ネクスガードスペクトラだけではなく他の予防薬にも含まれており、安全性が確認されています。

臨床試験において、ノミの成虫に対しては投薬後6時間以内に100%駆除、マダニに対しては投薬後12時間以内に93.4%駆除したという報告があります。

参考:ベーリンガーインゲルハイム アニマルヘルス ジャパン 通信

副作用としては、元気消失、食欲不振、嘔吐、呼吸促拍、大動脈症候群、皮膚のかゆみ、下痢などが生じる可能性があります。

次に、他のフィラリア予防薬と死亡件数や副作用を比較していきましょう。

他のフィラリア予防薬との比較

下記では、同じ食べるタイプのフィラリア予防薬における副作用と死亡件数を比較しています。

画像
商品名ネクスガードスペクトラカルドメックチュアブル
有効成分アフォキソラネル、ミルベマイシンオキシムイベルメクチン、ピランテル
副作用元気消失、食欲不振、嘔吐、呼吸促迫、大性脈症症候群等、嘔吐、皮膚のかゆみ、下痢食欲不振、嘔吐、下痢(軟便)、元気消失、歩様異常、痙攣及び流涎、急性犬糸状虫症、皮膚アレルギー症状
死亡件数12件6件
購入ボタン購入する購入する

フィラリア予防薬は、犬の体質によっては合わないこともあり上記のような副作用が発生する可能性もあります。

ネクスガードスペクトラの方が死亡件数が多いですが、使用者がはるかに多いことを考えると必然の結果と判断できます。

フィラリア予防をするならネクスガードスペクトラがおすすめ

ネクスガードスペクトラ

商品名ネクスガードスペクトラ
価格3ヵ月分:6,900円~
特徴 ・動物病院でも処方
・初めての方におすすめ

フィラリア予防をこれから始めるのであれば、ネクスガードスペクトラがおすすめです。

死亡例のないフィラリア予防薬はなく、ネクスガードスペクトラは死亡率はかなり低いです。人気のフィラリア予防薬のため、必然的に死亡例は多くなってしまいます。

月1回の投薬で、フィラリア予防とノミやマダニの駆除を同時に行うことができます。犬が好む牛肉フレーバーなので食いつきもよく投薬も簡単です。

動物病院でも処方されていますし、多くの飼い主から人気があるので、これからフィラリア予防を始める方も安心してお使いいただけます。

ネクスガードスペクトラを入手できる場所

ネクスガードスペクトラは、動物病院か個人輸入で購入することができます。Amazonや楽天などの一般的な通販サイトでは取り扱っていません。

個人輸入では、動物病院よりも価格が安く、通院の手間も省けるのでかなりおすすめです。

初めてフィラリア予防を行う場合、動物病院でフィラリア検査を受け、ネクスガードスペクトラを処方してもらいましょう。個人輸入は投薬するフィラリア予防薬が決まってから利用すると、失敗もなく、動物病院より安く済みます。

病院によって処方されるフィラリア予防薬が違うので、ネクスガードスペクトラを処方してもらえるかは事前に調べておきましょう。

ネクスガードスペクトラの正しい投薬方法

ネクスガードスペクトラの投薬で気を付けるべき点は以下の通りです。

・犬のサイズ(体重)に合わせて選ぶ
・1か月に1回定期的に投薬

犬のサイズにあった用量でないと、効果を得られなかったり、逆に効果が強すぎて体調を崩したりします。購入前にかならず犬の体重を計っておきましょう。

ネクスガードスペクトラは月に1回、毎月同じタイミングで投薬するようにしましょう。数か月投薬しないとフィラリアが成長して予防薬が効かなくなってしまうためです。投薬日を忘れないようにカレンダーなどに記入しておくのがおすすめです。

ストレスなく投薬するためにも、お腹が減っている間に投薬したり、小さく分割して投薬したりする工夫も必要になります。