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犬のフィラリア症とは?詳しく解説

フィラリアは犬の命に関わる恐ろしい寄生虫感染症ですが、適切な予防をすることによって愛犬を感染から守ることができます。

この記事ではフィラリアの予防方法をはじめとして、感染した場合にみられる症状や治療についてなど、
犬の飼い主さんが絶対に知っておくべきフィラリア症の基礎知識を解説しています。

フィラリア症とは

犬のフィラリア症は、犬糸状虫というソーメン状の細長い寄生虫が心臓や肺動脈に住みつくことで、様々な体調不良を引き起こす病気です。

蚊に刺されることで感染するため、日本に住む犬は感染リスクが高いと言えます。

フィラリアを媒介するのは日本国内に広く分布しているヒトスジシマカやアカイエカなどの、人間を吸血することで知られている種類です。

フィラリア症の犬への感染経路

フィラリア症の感染メカニズムは、次の通りです。

感染メカニズム
1.すでにフィラリアに感染し、体内に幼虫(ミクロフィラリア)を持っている犬を蚊が吸血
2.蚊の体内で2回の脱皮を経た幼虫が感染力を持った感染幼虫へと成長
3.その蚊が別の犬を吸血した際に犬の体内へと入り込む
4.犬の体内で成虫へと成長したフィラリアは、ミクロフィラリアを産む

このように、フィラリアは蚊と犬の間を行ったり来たりする1~4のライフサイクルを繰り返しながら、感染を拡大していきます。

多頭飼いの方は家庭内感染に注意

多頭飼いの方は家庭内感染に注意

多頭飼育のお家では、その中の1匹でもフィラリアに感染してしまうと、続けざまに他の犬にも感染が広がる恐れがあります。

家庭内のとても狭い範囲で最初の感染犬と、新たな感染犬というフィラリアのライフサイクルが完成してしまうからです。

このフィラリアのライフサイクルをそのままにしてしまうと、ある時点から体調に異変をきたす犬が続出するかもしれません。

そのため、多頭飼育をされているお家の愛犬を守るには、すべての犬にフィラリア予防をする必要があるのです。

フィラリア症は予防が基本

フィラリア相は、予防薬を使って予防するのが基本です。

蚊にさされなければ、フィラリア症にかかることはありませが、
しかし実際問題として、犬が絶対に蚊に刺されない環境を作ることはかなり難しいですよね?

そのため、フィラリア症を防ぐ一番の方法は予防薬の使用です。

予防という言葉を使っていますが、実際は蚊の吸血によって体内に入り込んだ幼虫を駆除しています。

それがなぜ予防になるのかといえば、犬の体内に入ったフィラリアが最初に寄生するのは皮下組織のため、血管に入り込む前に駆虫することで、フィラリア症にかからずに済むからです。

フィラリアの予防薬は動物病院や海外通販で購入できますので、毎年必ず適切な時期に使用して、愛犬の健康を守りましょう。

ネクスガードスペクトラ_商品画像 カルドメック_商品画像 レボリューション_商品画像
商品名ネクスガードスペクトラカルドメックレボリューション
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犬のフィラリア予防を始めるタイミング

フィラリアの予防薬は蚊の出始めから1ヶ月後にスタートし、蚊が飛ばなくなった1ヶ月後に終了が徹底して守るべき投薬期間です。

フィラリアの幼虫は、体内に入ると3~10日程度で脱皮して移行幼虫になります。

この時期が最も駆虫に適しており、50~70日後の2回目脱皮以降では薬の効果がありません。

確実にフィラリアの幼虫を駆虫するには、予防の始まりと終わりの時期を守り、毎月決められた日にきちんと投薬することが大切です。

フィラリア症に犬が感染してしまうと

愛犬の体にフィラリアの幼虫が入り込み、予防薬では駆虫できないところまで成長してしまった場合、
どのような症状があらわれるのかをみていきましょう。

感染後にみられる症状

犬のフィラリア症は、感染初期ではほとんどの場合が無症状です。

そのため、飼い主さんが異変に気づいたときは、すでに心臓・肺・血管などにダメージを受けていると考えたほうがよいでしょう。

フィラリア予防を適切に実施していない犬に、次のような症状がみられるようになった場合は、フィラリア症が疑われます。

症状
  • 乾いた咳
  • 散歩や運動をしたがらない
  • 元気がなくなる
  • 食欲がなくなる
  • お腹が膨らんでくる
  • 血尿
  • 腎臓、肝臓などの機能不全

多くの場合、体に深刻な症状があらわれるのは感染から数年が経過してからです。

しかし、心臓や肺動脈内に寄生している成虫数が多くなると症状が一気に悪化し、ほんの数日で命を落としてしまうこともあります。

参考
家庭の獣医学(No.10 フィラリア症について)|福岡市獣医師会

治療は難しい

フィラリアに感染した場合の治療方法には、次のようなものがあります。

治療法
  • 予防薬の長期投与→成虫の数が少なく、まだ深刻な症状が出ていない
  • 成虫用駆虫薬の投与→心臓内で成虫が増殖している
  • 成虫の摘出手術→大静脈症候群などの緊急事態
  • 緩和療法→体の状態が駆虫や手術に耐えられないほど弱っている態

仮にフィラリア駆除に成功したとしても、ダメージを受けてしまった臓器や血管をもとの元気な状態に戻すのはとても困難です。

フィラリア症は犬以外にも感染する

フィラリア症は犬以外にも感染する
フィラリア症は犬の寄生虫感染症として知られていますが、近年においては犬以外の動物にも寄生する人獣共通感染症であることが判明しています。

フィラリア症は長らく猫はかからないと思われてきましたが、近年ではフィラリアの抗体を持っている(感染した経験がある)猫が一定数見つかっています。

猫がフィラリアに感染した場合、犬に比べて心臓より肺に寄生することが多いことから、呼吸器系に異常をきたす可能性が指摘されています。

猫喘息などの慢性気管支疾患と診断された猫の中にも、実はフィラリアが原因だったケースがあるのではないかと考えられるようになりました。

人間

フィラリア症は環境省/人と動物の共通感染症に関するガイドラインにおいて、人獣共通感染症の一つとして表記されています。

日本国内での感染報告はわずかであり、犬のフィラリア症が即人間にも感染すると言うわけではありません。

しかし、ごく稀にではあるものの、ヒトスジシマカやアカイエカの吸血が原因で、犬糸状虫の幼虫が人間の体内に入り込む可能性はあるのです。

感染した場合は幼虫が肺動脈をふさぎ、肺の肉芽腫の原因となる可能性が指摘されています。

この場合は主に咳・血痰・発熱といった症状がみられますが、無症状の場合も多く、胸部レントゲンで偶然発見されることもあります。

参考
人と動物の共通感染症に関するガイドライン – 環境省

犬のフィラリア症は予防できる病気

フィラリア症は愛犬の命を危険にさらしてしまう、とても恐ろしい寄生虫感染症です。
しかし、適切な時期に適切な予防薬を使うことで、確実に予防することができます。

フィラリア症にかかると犬の心臓・肺・血管といった重要な臓器がダメージを負ってしまうため、仮に治療が成功したとしても元の健康な体に戻すことはかなり困難といえるでしょう。

だからこそ、正しい予防こそが愛犬の健康を守ってくれるのです。

かかってしまってから後悔するのではなく、毎年しっかり予防薬を使うことが、愛犬の健康寿命を延ばすことにつながります。