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犬のフィラリア予防-正しい方法や費用について

フィラリア症(犬糸状虫症=いぬしじょうちゅうしょう)は、予防法が確立されている病気の一つです。
正しい対応措置を取ることで、ほぼ100%予防可能な病気です。

フィラリア症を媒介する蚊の種類は、シナハマダラカ、コガタアカイエカ、トウゴウヤブカ、ヒトスジシマカ等約16種類もあります。

犬がフィラリアに感染しないためには、蚊に刺されないことが一番確実な予防法です。
しかし、蚊に刺されないというのはかなり無理がありますよね?

一番簡単で、確実な予防法としてはフィラリア予防薬を使用するという方法があります。

今回は、犬のフィラリアの予防と題して、正しい予防方法や費用について紹介していきます!

フィラリア症はなぜ予防が必要?

蚊に刺されるだけなのに、フィラリア症はなぜ必要なのでしょうか?

感染してない犬が蚊に吸血されると、犬の体内にミクロフィラリア(幼虫)が体内に侵入します。

ミクロフィラリアは体内で成長を繰り返し、成虫まで成長していきます。

成虫になったフィラリアは血管を通り、心臓、肺血などに移動し、最終的に犬の命に係わる病気へと発展します。

フィラリアに感染し発症すると、咳をしたり運動を嫌がったりするようになります。
重篤な症状になると腹水が貯まったり、場合によっては酷い血尿を出して虚脱状態をきたすような急性症が出ることもあります。

その結果、心臓や肺などが傷付き、一度傷付いてしまった内臓は完治することなく、犬へのダメージを消すことはできません。

そのため、そもそも感染させないための予防が必要となるのです。

感染させないためには月に1回、予防薬を使用して感染を防ぎます。

猫もフィラリア予防は必要なのか

猫もフィラリア予防は必要なのか
犬と違って、室内で飼っている猫にはフィラリア予防がいらないと思う方もいます。
結論から言うと、猫にもフィラリア予防は必要です。

犬のフィラリア症感染が多い地域は、猫の感染率も高いという結果が出ているようです。

犬ほど多くはありませんが、喘息だと思っていたら実はフィラリア症に感染していた、という事例も出ています。

猫もフィラリア症が原因で突然死する例もあるようなので、危険な病気であることに変わりはありません。

犬の場合、検査すれば即座に結果がでますが、猫の場合は感染しても寄生する虫の数が少ないため診断が難しいようです。
よって、早期発見も治療も難しくなります。

猫がフィラリア症に発症した場合、犬とは異なる治療法になります。

理由は、犬と同じ方法で駆虫をすると、猫の場合は免疫反応が強く出過ぎるためです。

治療には対症療法が中心となり完全にフィラリアを除去するというより、今以上感染させないために予防薬を投与する、と言うのが一般的な治療法となっています。

完全室内飼いの猫であっても、絶対に感染しないということはありません。
ドアの開け閉めの時、お掃除のためにドアや窓を開け放した時など、蚊の侵入経路は意外にあったりします。

そのため、室内飼いの猫にもフィラリア予防は必要なのです。

フィラリアの予防方法

フィラリア症を予防するには予防薬を投与することですが、下記のようにいくつかの方法があります。

予防方法
  • 錠剤タイプ(月1回)
  • チュアブルタイプ(月1回)
  • スポットタイプ(滴下、月1回)
  • 注射(年1回)
  • オールインワンタイプ(月1回)

オールインワンタイプは、フィラリア予防だけでなく、ノミ・マダニ、お腹の虫まで1つで駆除してるお薬です。

複数のお薬を管理する必要がないため、飼い主さんにとっても楽ですし、
犬にとっても薬の回数が減るのでストレスなく予防できます。

STEP1.事前の検査

フィラリア予防薬を投与する前に、事前検査が必要です。
※産まれて数ヶ月で初めての投与の場合は、検査なしの場合あり

血液検査をすることで、寄生しているかしていないか、がわかります。

寄生している犬に予防薬を投与してしまうと大量にミクロフィラリアを駆除してしまい、
その結果、犬がショック症状を起こし最悪亡くなってしまう可能性もあります。

そのため、フィラリア予防薬を使用する前は必ず検査をしましょう。

STEP2.毎月の投薬

検査結果により、フィラリアの寄生はないという結果が出たら予防薬を投与します。

上記の予防法で、経口タイプもしくはスポットタイプを、毎月1回決まった日に投与していきましょう。
1ヵ月おきに投与することで、確実にフィラリアを予防できます。

注射の場合は、年に一度で予防が済みますが、動物病院で処置してもらう必要があります。

フィラリアの予防期間は?

フィラリアの予防期間は?
フィラリアは蚊に刺されることで感染するため、蚊の活動が活発化する春から予防薬を使用します。

基本的な予防期間は、蚊が活動を始めた1ヵ月後~蚊が見られなくなった1ヵ月後までとなります。
各地域によって予防期間は異なりますが、こちらを覚えていてください。

蚊の活動気温
  • 18℃以上→活動開始
  • 25℃以上→適温、感染リスク高
  • 15℃以下・34℃以上→成長ストップ

蚊は外気温が18℃以上になると活動を始め、25℃を越えると、蚊の体内にいるミクロフィラリアの最適温度になり感染リスクが高まります。

ただし、気温が 15℃以下もしくは 34℃以上になると、ミクロフィラリアの成長は止まります。

そのため、近年投与期間が長くなる傾向にあり、大体の地域は4・5月~11月・12月までとなるようです。

フィラリア予防薬は、蚊に刺されないようにするためのお薬ではありません。
体内に入った子虫を駆虫するお薬です。

皮膚内に入った子虫は50日~70日(約1ヵ月)で血管内に移動するため、フィラリア予防薬は血管内に入った子虫を駆虫するように作用します。

そのサイクルに合わせて1ヶ月に1回投与すれば予防ができます。

ご自身の地域のフィラリア感染目安はこちらからご確認ください。
全国 犬のフィラリア感染期間の目安│住友ファーマアニマルヘルス株式会社

途中で飲み忘れたら?

もし予防薬を飲み忘れてしまったら、フィラリア症の感染リスクが高まります。

1日2日くらいの飲み忘れであれば、気付いた時点で投与しましょう。

もし1ヵ月ほど忘れてしまった場合は、獣医師に相談し再度フィラリアの検査から始めることをおすすめします。

フィラリア予防薬は体内にいるフィラリアの子虫を駆虫するためのお薬です。

飲み忘れが長くなるほど、予防薬の効果が効きにくくなるので、できるだけ忘れずに毎月1回投与しましょう

毎月同じ日を覚えておく、カレンダーにメモを取るなどするのが1番です。

最後の投薬をしなかったら?

最後の投薬をしなかったら?
フィラリア予防薬は、指示された通りの期間飲ませないと効果が得られません。

予防薬は投与してからさかのぼって前1ヵ月効果があるので、感染終了後の最後の投与はとても重要です。

涼しくなったし、蚊も見かけなくなったら…と飼い主さんの自己判断で中止するのはやめましょう。

自己判断で止めてしまわず、最後までしっかり投与して愛犬を守りましょう。

フィラリア予防にかかる費用は?

フィラリア症の予防にかかる費用は、予防薬の値段と投与する期間(個数)で決まります。

よって、費用は住んでいる地域によって、また年間投与するかかどうかでもかかる金額も変わります。

フィラリア予防薬は動物病院・海外通販の2つの購入方法があります。

動物病院では、獣医師さんの判断でお薬が決まり、価格に関しても動物病院が独自に設定できるため高額な費用となることも…
海外通販では、お薬代のみというだけでなく、種類も豊富で価格も幅広くなっています。

安く購入したいという方は、海外通販を利用するのがおすすめです。

では、動物病院と海外通販の価格を比較してみましょう。
今回は一番有名な、ネクスガードスペクトラというお薬で比較してみました。

動物病院海外通販
小型犬用1錠2,200~2,700円6錠11,700円
1錠あたり1,950円
中型犬用1錠2,400~3,100円6錠12,900円
1錠あたり2,150円
大型犬用1錠2,700~3,500円6錠13,800円
1錠あたり2,300円
費用例)6ヵ月分
小型犬:13,200~16,200円
中型犬:14,400~18,600円
大型犬:16,200~21,000円
例)動物病院と比較
小型犬:1,500~4,500円OFF
中型犬:1,500~5,700円OFF
大型犬:2,400~7,200円OFF

犬種よって費用は変わってきますが、海外通販でフィラリア予防薬を購入すると、最大で7,400円もお得になります。

こちらの表では薬代のみ比較しましたが、実際に動物病院に行くと診察費なども負担となります。
諸経費を考えてみると、海外通販の方が価格を抑えて購入し、予防ができます。

フィラリア予防の注意点

フィラリア予防を行う際にも、いくつか注意点があります。

ここからはよくある注意点について説明していきます。

必ず検査をしてから投薬を始める

もしも感染状態で予防薬を投与した場合、死に至るケースもあります。

フィラリア症の予防薬は、蚊に刺されなくする薬ではなく、
蚊に吸血されたことにより体内侵入したフィラリアの子虫を1ヵ月毎に駆虫する薬です。

そのため、事前の検査で必ずフィラリアに感染していないことを確認し、投与を開始しましょう。

コリー系の犬種は副作用に注意

コリー系の犬種は副作用に注意
コリー系の犬種はフィラリア予防薬に用いられているイベルメクチンという成分に注意が必要です。

コリー系犬種は、元々体質的に脳がイベルメクチンの影響を受けやすいという特徴があります。

フィラリア予防薬に使われるイベルメクチンの成分量はとても低用量が、
それでもと心配であれば、イベルメクチン以外の有効成分を含むの予防薬を選びましょう。

主なコリー系犬種
  • コリー
  • シェルティ
  • ボーダーコリー
  • オールドイングリッシュ
  • ジャーマンシェパード
  • オーストラリアンシェパード
  • スイスシェパードなど

フィラリア症の予防以外でイベルメクチンを使用する場合は、慎重に投与する必要があります。

正しい知識をつけてフィラリア予防

大切な愛犬をフィラリア症から守るには、飼い主であるあなたが正しい知識をもつ事が大事です。

ポイント!
  • 予防薬で100%予防可能
  • 月1回の投与でOK
  • 蚊が出た1ヵ月後~見なくなった1ヵ月後まで
  • 事前のフィラリア検査

今回の記事では、主にこの4つがポイントとなっています。

蚊に刺されることで感染するフィラリアは発症してしまうと大切な愛犬を傷付けてしまいます…

予防薬を使えば100%予防できるので、しっかり予防してフィラリアから愛犬を守りましょう!