フィラリアは犬の病気だと思い込んでいる飼い主さんがまだまだ多いようです。
たしかに、フィラリア症は犬を宿主とする寄生虫による感染症ですが、実は猫にも感染します。
それどころか、飼い猫のあいだにも感染は広がっており、猫の突然死の大きな原因かもしれないのです。
しかも、猫のフィラリアは診断が難しいうえに、有効な治療法はほとんどないといわれています。
だからこそ、猫のフィラリア症について、きちんと理解することが大切なのです。
猫が好き過ぎて、現在猫を中心としたコンテンツを発信しています。
小さい頃から育ててきた愛猫が3匹いて、2匹は野良猫から育てました。
今のように元気になるまでには色々あって結構苦労したので、その経験をもとに少しでも役に立つ情報を提供出来たらなと思っています。
愛猫家による愛猫と幸せに暮らすための知識を紹介していきます!
10頭に1頭の猫はフィラリア症に感染?
2010年に獣医学情報誌「CLINIC NOTE」に掲載された調査によると、10頭に1頭、つまり1割ほどの猫がフィラリアに感染していたと報告されています。
このうちの4割ほどは室内飼育の猫であり、蚊がほとんど舞い上がってこないとされる10階以上で飼われていた猫の感染例もあったそうです。
死に至る可能性のある感染症としては1割という数字は決して低いものではありません。
また、室内飼育でも感染のリスクは避けられないこと、高層階であっても安心できないこともうかがえます。
猫の感染の報告数が年々増加しているとも言われており、しっかりと対策が必要です。
フィラリア予防をしていない飼い猫は多数
ペット情報WEBメディアのPetLIVESが2020年におこなった「猫のフィラリア症」に関するアンケートでは、正しい知識が周知されていないことが浮き彫りになりました。
猫もフィラリア症に感染することを知っている飼い主さんが71%であったのに対して、きちんと予防しているのはわずか25%にとどまっていました。
ところが、完全室内飼育であっても感染リスクがあることを伝えると「予防したい」と答えた飼い主さんの率は97%に上昇したというのです。
これは「猫もフィラリアに感染することは知っていても、室内飼いだから」と油断している飼い主さんが多いことをあらわしており、適切な情報によって予防意識は格段に高まることが明らかになりました。
参考
・【2020年 猫の寄生虫対策に関する最新調査】猫もフィラリア症に感染することは知っているけれど、完全室内飼育なら予防は不要・・と油断?|PetLIVES(ペットライブス)のプレスリリース
猫のフィラリア症の原因と感染経路
猫のフィラリア症は犬と同じくフィラリア(犬糸状虫)という寄生虫に感染することが原因です。
フィラリアに感染している動物の血を吸うと、蚊の体内にフィラリアの幼体であるミクロフィラリアが取り込まれます。
その蚊がほかの動物の血を吸うことで感染を拡大させていきます。
日本には約120種の蚊が生息していますが、そのうち、フィラリアを媒介するのはアカイエカやヒトスジシマカなど16種とされています。
アカイエカなどは九州から北海道までの広い範囲に生息しており、フィラリアに寄生された動物がいる場所であれば日本中どこででも感染のリスクがある言えます。
多頭飼いのペット同士でも感染する?
複数のペットを飼っていて、そのうちの1頭がフィラリアに感染した場合、
同居しているほかのペットにも感染が広まる可能性は十分にあります。
フィラリアは感染した動物からほかの動物へ直接感染することはありません。
しかし、媒介する蚊がどこにでも入り込める以上、安全が保障された場所はないのです。
たとえば、高層マンションであっても、蚊は住人と一緒にエレベーターに乗って高層階まで移動します。
そして、ドアの開け閉めの際に自由に出入りできるのです。
一般的な家屋で蚊の侵入を完璧に防ぐことはほぼ不可能です。
そのため、犬と猫を飼っていて、散歩に出る犬だけ予防すれば大丈夫というわけではありません。
犬と猫であっても、猫だけであっても同居するペットすべてに予防が必要なのです。
猫から人間に感染することはある??
あまり知られていませんが、犬のフィラリアは人間にも感染します。
猫と同じく人間も本来の宿主ではないため、体内で成虫になることはほとんどないといわれています。
しかし、まれに生き残った幼虫が肺や皮下、眼、心血管などに病変をもたらす肺ディロフィラリア症、肺外ディロフィラリア症を引き起こすケースもあります。
こちらは国内では1964年に初めて報告されて以来、250件以上の感染例があるそうです。
感染元の動物を特定するのはまず不可能ですが、猫も感染する以上、猫から飼い主へと蚊を介して感染する可能性はゼロではありません。
ですから、飼い主さん自身の健康を守るためにも愛猫のフィラリア予防は大切なのです。
猫のフィラリア症に見られる症状
フィラリアに感染した猫にあらわれる症状には以下のようなものがあります。
- 咳
- 呼吸困難
- 食欲不振
- 体重減少
- 嘔吐、下痢
- 頻脈
- 発作
猫の体内ではフィラリアは長く生きられません。
ほとんどは肺動脈に達するまでに死にますが、その際に起きる免疫反応によって肺で炎症が起き、咳や呼吸困難といった症状が起こります。
これらを犬糸状虫随伴呼吸器疾患と呼びます。
ほかに嘔吐や下痢、食欲不振といった症状が出ることもあります。
体内のフィラリアが成虫になると免疫反応が落ち着くため、一時的に症状が軽くなる場合があります。
しかし、成虫が死ねば免疫反応によって重い肺炎が起きたり、血管に詰まって血流が止まることもあるため注意が必要です。
突然死するケースも
上記でも書いたとおり、フィラリアは猫の体内では長く生きられません。
しかし、生き残って成虫になると心臓や肺の血管に寄生し、突然死を招きます。
その場合も約3割の猫には目立った症状があらわれず、あってもフィラリア症特有のものではなため、猫が生きているうちにフィラリア症だと診断するのは難しいのです。
実際、突然死した猫を解剖して初めてフィラリアに寄生されていることが判明したケースも多く、
最近では猫の突然死の1割ほどがフィラリア症が原因ではないかといわれています。
猫の1割がフィラリアに感染している可能性があるにもかかわらず、「犬の病気だから」という油断、「室内飼いなら大丈夫」という思い込みがいまだに根強く残っているのです。
猫だからといって、決して安心してはいけません。
猫のフィラリア症は診断が難しい
フィラリア症の診断には、おもに抗原検査と抗体検査が用いられます。
抗原検査は犬で主流の方法で、メスのフィラリアが3匹以上いると反応します。
ところが、猫では1、2匹だけの感染が一般的であるため、検査しても反応が出ない場合が多いのです。
一方、抗体検査はオスとメスの両方に反応しますが、検査の感度があまりよくないため、やはり反応が出ない可能性が高くなります。
さらに、症状の多くがほかの病気を疑わせるものばかりとなれば、獣医師が見逃しても不思議はありません。
猫のフィラリア症は治る?
残念ながら、猫のフィラリア症を根本的に治す方法はありません。
おもな治療方法は次の2つです。
- 対症療法
- 外科手術
対症療法も出ている症状を軽減するだけで、一時的に楽になっても治療をやめれば症状は戻ります。
外科手術も猫の心臓が小さいために危険がともなうだけでなく、寄生しているフィラリアを全て取り除けるとはかぎりません。
いずれにしても、猫にとっては大きな負担になります。
運よく克服できた場合も、慢性的な呼吸器障害が残ることが多く、生涯にわたって対症療法を続けていく恐れもあります。
猫のフィラリア症は予防が大切
猫のフィラリア症は診断が難しいうえに根本的な治療法はありません。
しかし、適切に予防薬を使用することでほぼ確実に避けられます。
猫用のフィラリア予防薬には食事に混ぜるなどして飲ませる経口タイプもありますが、
肩甲骨付近の皮膚に薬液を垂らす滴下タイプのほうが確実性が高いことから主流となっています。
滴下タイプではレボリューション・ブロードライン・アドボケートがよく知られています。
フィラリアのほかにノミやミミダニ、回虫なども駆除できるタイプもあるので、必要に応じて選びましょう。
なお、予防薬は海外の通販サイトや動物病院などからも購入できます。
動物病院で処方されていた、猫の通院時のストレスを軽減させる場合は、海外の通販サイトがおすすめです。
■当サイトで取り扱っているフィラリア予防薬
商品名 | レボリューション | ブロードライン | アドボケート | レボスポット |
---|---|---|---|---|
有効成分 | セラメクチン | フィプロニル (S)-メトプレンなど | イミダクロプリド モキシデクチン | セラメクチン |
特徴 | 人気の商品 スポットタイプ 8週齢から使用可 | 知名度高 スポットタイプ ノミの孵化と成長を阻害 7週齢から使用可 | スポットタイプ プロアクティブ効果 9週齢から使用可 | 国内最安値 レボリューションジェネリック スポットタイプ |
効果 | フィラリア予防 ノミ・ダニ駆除 猫回虫駆除 | フィラリア予防 ノミ・ダニ駆除 猫回虫駆除 猫鉤虫駆除 | フィラリア予防 ノミ・ダニ駆除 回虫駆除 鉤虫駆除 | フィラリア予防 ノミ・ダニ駆除 猫回虫駆除 |
価格 | 3本1箱:3,500円~ | 3本1箱:4,600円~ | 3本1箱:4,200円~ | 3本1箱:1,480円~ |
購入する | 購入する | 購入する | 購入する |
猫のフィラリア予防の時期は?
フィラリア予防薬の投与期間は、蚊が飛びはじめた1ヶ月後から蚊がいなくなった1ヶ月後までとなります。
体内に侵入したフィラリアが大きくなる前に駆除するのが予防薬の効果なので、蚊が活動する期間より後に投与する必要があります。
得に重要なのは最後の投与で、これを怠ると冬のあいだにフィラリアが体内で成長してしまう危険性があるため注意しましょう。
なお、蚊の活動期間は地域によって異なります。
投与期間についてはかかりつけの獣医師に相談するか、以下のサイトを確認しましょう。
参考
・全国 犬のフィラリア感染期間の目安│住友ファーマアニマルヘルス株式会社
猫のフィラリア症は怖い病気
犬に比べると猫のフィラリア症はまだ広く認知されているとはいえません。
知っていてもきちんと対策していない飼い主さんも多いのが現状です。
しかし、体の小さな猫にとっては、たった1匹に寄生されただけでも重い症状が出ることがあります。また、運よく治っても障害が残る可能性があるのです。
「犬の病気だから猫は平気」「室内飼いなら問題ない」などと甘く考えてはいけません。
フィラリア症は、適切に予防すればほぼ100%回避できるのですから、まずはかかりつけの獣医師に相談することをおすすめします。