膀胱炎
抗炎症作用により、細菌性感染症の症状(炎症、化膿など)を改善します。
主にクラミジア、淋病、咽頭炎、尿道炎などの感染症に高い効果を発揮します。
細菌のタンパク質の成長を阻害して増殖を抑制する静菌性の抗生物質ですが、高用量では殺菌的に作用します。
犬と猫の膀胱炎
犬や猫は泌尿器系の病気にかかりやすい動物です。
泌尿器系の病気の中でも膀胱炎は特に発症しやすい病気と言えます。
膀胱炎は治りにくく、また完治しても再発を繰り返すことの多い厄介な病気です。
今回はその膀胱炎の原因や症状、予防方法などを紹介していきます。
膀胱炎の原因

膀胱炎は人間だけでなく犬にも発症します。
尿道から入り込んだ細菌が膀胱の粘膜に感染して炎症を起こす病気を膀胱炎と言います。
犬の膀胱炎の原因は主に細菌感染、腫瘍や外傷、結石や結晶の3つに分類できますが、他にもストレスやオス犬の前立腺炎などが原因で膀胱炎を併発してしまう場合もあります。
細菌感染
犬が膀胱炎を発症する原因として、最も多いのが細菌感染です。
特にブドウ球菌や大腸菌への感染から膀胱炎を発症することが多いです。
これらの細菌が尿道から尿管を経由して膀胱に達することで膀胱炎を引き起こします。
メス犬の場合、尿道口と肛門が近いので下痢などで腸の細菌に感染しやすいことが分かっています。
また、排尿する際に地面に接する機会が多いことや尿道が短いことから、オス犬よりメス犬のほうが膀胱炎にかかりやすいのです。
腫瘍や外傷
膀胱腫瘍により傷ついた膀胱が膀胱炎を発症する場合もあります。
また、交通事故などによる外傷で膀胱が傷つき、炎症から膀胱炎となってしまうケースなどもあります。
結石や結晶
泌尿器に発生した結石や結晶が膀胱の粘膜を傷つけることで炎症が起こります。
結石や結晶ができてしまう原因には体質、遺伝、食事などが関係しています。
冬場などの寒い時期になると水を飲む量が減り、尿の回数や量も減ります。
尿の回数や量が減ると、濃くなった尿のミネラル分から結石が作られることがあります。
膀胱炎の症状

犬が膀胱炎を発症すると、次のような症状が見られるようになります。
・尿の色の濁りや臭いの変化
・頻尿(トイレの回数が増える)
・排尿の際に痛がって鳴く
・血尿
・食欲や元気がなくなる
・水を飲む量が増える
このように犬の膀胱炎の症状には様々なものがあります。
中でも、まず見られる変化が多飲多尿です。
水を飲む量がいつもより増えたり、トイレの回数が多くなったりします。
しかしこの時、トイレに行っても1回ごとの尿の量は少ないです。
また、排尿の際に鳴き声をあげていたら注意してください。
人間と同様に、犬の膀胱炎も排尿時に痛みが現れます。
鳴き声をあげていないか、痛そうな仕草をしていないかをチェックしましょう。
さらに尿の色が濁っている、ピンク色の尿や血尿が出ている、尿の臭いがきつくなったなどの変化が見られた場合も、膀胱炎を疑った方がいいかもしれません。
症状が慢性化すると、腎盂腎炎や尿路結石を併発してしまう恐れがあります。
膀胱炎を発症しやすい犬種として、ミニチュアダックスフンド、ミニチュアシュナウザー、ブルドッグ、ダルメシアンが挙げられます。
犬の膀胱炎は症状が進行すると尿閉塞を発症する場合があり、尿をポタポタと垂らしうまく排出できなくなります。
尿閉塞は尿道が細長いオス犬に起こりやすいです。
完全に閉塞してしまうと、尿の排出が不可能になり最悪の場合、死に至ります。
膀胱炎の予防と治療

膀胱炎の予防
犬の膀胱炎を予防するために、日頃から気をつけたいポイントをまとめました。
生活環境
犬の膀胱炎を予防するのに最も重要なのは清潔であることです。
膀胱炎は細菌感染によって発症するものがほとんどなので、細菌に感染させないような環境づくりをしてあげましょう。
犬のトイレを清潔に保つ、糞尿はすぐ片付ける、下痢をしている時は尿道口を汚さないように拭く、室内や犬小屋の掃除をこまめにするなど、予防のために気をつけるポイントはたくさんあります。
排尿
体内に細菌が入り込んでしまっても、水をたくさん飲ませて尿で出すように促しましょう。
細菌を体の外に出すということがポイントなので、水分摂取と我慢せずに排尿させることは、非常に重要です。
膀胱炎の治療
膀胱炎治療は大きく分けて2つあります。
投薬による治療
膀胱炎の原因となっている細菌の特定をし、その細菌に効果的な抗生物質を投与して治療していきます。
膀胱炎を引き起こす細菌はブドウ球菌、大腸菌、プロテウス属、レンサ球菌などが代表的です。
投薬治療は細菌がいなくなるまでの約2〜3週間継続して行います。
抗生物質を投与していても症状が改善されない場合は薬の種類が合っていない可能性が考えられます。
この場合はどのような細菌が感染しているのかを再検査し、それに有効な抗生物質に変更するなどの対処が取られます。
基礎疾患の治療
膀胱炎が長引いたり、再発したりしてしまう場合は他の疾患が原因となっている可能性が考えられます。
腫瘍や結石、先天的異常がないか検査をして、結果に応じた治療を行います。
結石や結晶ができている場合は食事療法が多く選択されます。
主な結石・結晶は、ストルバイト結石・結晶とシュウ酸カルシウム結石・結晶です。
ストルバイト結石・結晶の場合は、療法食で対応することができますが、再発する可能性が高いので生涯にわたって療法食を続けるようになります。
シュウ酸カルシウム結石・結晶の場合は食事療法では効果を得られないため、摘出するための外科手術を行う必要があります。
しかし摘出手術を行ったからといって安心してはいけません。
シュウ酸カルシウム結石・結晶も再発の可能性が高いので、定期的に通院して診察を受けるようにしましょう。
猫の膀胱炎

膀胱炎の原因
猫の膀胱炎は、細菌性膀胱炎、結晶による膀胱炎、そして突発性膀胱炎の3つのタイプに分けられます。
1つずつ原因を探っていきましょう。
結晶による膀胱炎
結晶が原因の膀胱炎は、猫の膀胱炎で最も多くみられます。
結晶はサラサラまたはザラザラした砂のようなものですが、この結晶が固まってしまうと結石と呼ばれる石に変化します。
結石が尿の通り道に詰まって尿を排出することが困難になります。
結石ができる原因は食事や水を飲む量、体質が関係しています。
健康な状態の尿はほぼ中性ですが、食習慣や体質、細菌感染などの影響で酸性やアルカリ性に変わってしまうのです。
尿が酸性やアルカリ性になると、尿酸やリン酸カルシウムなどの成分から結晶が生成されやすくなります。
また、猫はもともと水をあまり飲まない動物であるため、尿の量が減り、尿が濃縮されて結晶が固まりやすくなり、結石を作ってしまうという特徴もあります。
尿道が細長いオス猫は尿路の閉塞を起こす危険もあるので要注意です。
細菌性膀胱炎
細菌性膀胱炎は、その名の通り細菌が感染することによって発症する膀胱炎のことです。
猫の尿道から細菌が侵入し、その細菌が膀胱で炎症を起こしている状態のことを言います。
腎臓に細菌が感染してそこから膀胱に感染が広がる場合や、尿道口から感染してそこから広がっていく場合もあります。
細菌性膀胱炎は、尿検査を行うと細菌の発見ができるので、原因の特定が容易ではあります。
突発性膀胱炎
猫は突発性膀胱炎を発症することがあります。
突発性膀胱炎とは、何が原因なのか分からない膀胱炎のことです。
原因として水分不足や肥満、寒さの影響など様々なものが考えられますが、特に普段から注意したいのはストレスです。
猫の精神は非常にデリケートなため、ストレスが多いほど膀胱炎を発症しやすくなると言われています。
猫は引っ越しなどで新しい環境になったり、飼育環境に知らない人が訪れる機会が増えたりすると、ストレスが溜まっていきます。
また、猫にとってトイレの環境も重要です。
トイレの周りがうるさい、トイレが汚いなど猫にとって不快に感じる状態にしていてはいけません。
このような状態であると、猫はトイレを使うことを拒否し、尿を我慢してしまうため膀胱炎を発症することがあります。
膀胱炎の症状
猫の膀胱炎にも一部、犬の膀胱炎と同じような症状が見られることがあります。
・トイレに行く回数が増える
・尿に血が混じる
・トイレ以外の場所での排尿
・排尿時に痛がって鳴く
・尿が出なくなる
・お腹などを舐めるのをやめない
上記のような症状が見られたら、膀胱炎を発症している可能性が高いです。
膀胱炎になると、尿意を感じることが増えるためトイレに行く回数が多くなります。
しかし、尿意を感じても実際には膀胱に尿はほとんど溜まっていません。
そのため、トイレに行っても尿はあまり出ないのです。
さらに血尿が出たり、尿に血の塊(血餅)が混ざることもあります。
トイレに使用している猫砂の種類によっては、色の変化が分からないことがあるかもしれません。
ですが、見た目で分からない場合でも、鉄のような臭いで気がつくことがあります。
また、どの猫にも見られる様子ではありませんが、お腹や尿道のあたりを舐め続けるといった行動をする猫もいます。
お腹や尿道のあたりを舐め続けるのは、猫自身が膀胱に違和感を感じているためにする行動です。
そして、膀胱炎が進行すると尿路閉塞を引き起こす危険性もあります。
尿路閉塞は血餅や結石が尿道に詰まってしまい、尿が全くでなくなる状態のことを言います。
尿路閉塞になると身体の状態が急激に悪化し、大きな負担を与えてしまいます。
オス猫は特に尿路閉塞を起こすことが多いです。
尿が全く出なくなると、腎臓に負担になり急性腎不全という状態に繋がってしまいます。
これが悪化すると死に至ることもあります。
膀胱炎の治療と予防
猫の膀胱炎には、結晶による膀胱炎、細菌性膀胱炎、突発性膀胱炎の3つがあると説明しましたが、予防方法や治療方法もそれぞれ異なります。
結晶による膀胱炎の予防と治療
結晶・結石による膀胱炎の予防には、尿のpH値のコントロールが不可欠です。
猫の尿の中にカルシウム、リン、マグネシウムなどのミネラル成分が増加したり、尿のpHのバランスが崩れたりすると、結晶・結石は作られやすくなります。
猫の結晶・結石も主にストルバイトとシュウ酸カルシウムの2種類です。
アルカリ性に傾いている時には酸性に、酸性に傾いている時にはアルカリ性にするためのフードを与え、弱酸性のpH値を維持すると膀胱炎の予防になると言われています。
ペットのpH値がどのような状態になっているのか、個人で判断することはできません。
獣医師さんに相談し、アドバイスをもらった上でフードを選ぶようにしましょう。
ストルバイト結晶・結石は食事療法で改善していきます。
ストルバイトは溶ける石なので、ペットの状態に合った療法食で治療が可能になります。
シュウ酸カルシウム結晶・結石は、ストルバイトとは違い溶けることはありません。
そのため外科手術を行い、結石を摘出しなければなりません。
細菌性膀胱炎の予防と治療
細菌性膀胱炎を予防するにはトイレを清潔に保つこと、水をたくさん飲ませることの2つが重要です。
細菌性膀胱炎の場合、尿道から体内に感染することが多いので、排泄物がトイレに残ったままになっていると膀胱炎の原因となります。
トイレを清潔にしておくと、細菌の繁殖を防ぎ、結果として膀胱炎を予防することができるのです。
また、猫は特に汚いトイレを嫌がります。
尿を我慢することでも膀胱炎にかかるので、それを防ぐためにもトイレの掃除は非常に大切です。
細菌性膀胱炎の治療は2〜3週間ほど、菌に有効な抗生物質の投与が行われます。
猫の細菌性膀胱炎は自然治癒する場合もあります。
ですが長引くと重い病気に繋がる恐れもあるので、やはり抗生物質による早期の治療を行うべきでしょう。
予防と治療には水をたくさん飲ませることも大切です。
ペットに与える水は1日に何度も交換し、常に新鮮な水を飲める状態にするとよく飲んでくれるかもしれません。
夏場は特に普段より多めの水分が必要になりますので、十分な量の飲み水を与えるようにしてください。
反対に寒い時期になってくると、どうしても水を飲む量が減ってきてしまいます。
その際にはお湯でふやかしたフードや、水分の多いウェットフードを与えると、効率的に水分補給することが可能になります。
突発性膀胱炎の予防と治療
突発性膀胱炎ですが、はっきりとした原因が判明していないので予防や治療が難しいのが現状です。
しかし近年では研究が進み「どのような環境だと突発性膀胱炎が起こりやすいのか」がある程度まで分かってきています。
標準の起こりやすさを1とした場合に、次の要素があると突発性膀胱炎を発症する危険性が高まります。
・オス猫 2.34倍
・賃貸暮らし 2.53倍
・固まらない猫砂 2.62倍
・多頭飼い 3.16倍
・飼育環境に高い場所がない 4.64倍
突発性膀胱炎の原因がこれらだけとは限りませんが、ストレスが大きく関わっているという見られ方が有力です。
猫の暮らしやすい環境を作って、ストレスフリーに過ごさせてあげることが予防に繋がるでしょう。
突発性の膀胱炎は具体的な原因が判明していないため、根本的な治療方法を見つけるのも難しく、治療には根気が必要です。
基本的には動物病院の通院、それと並行しながら自宅治療を行います。
動物病院では、膀胱炎の症状をコントロールするための鎮痛剤や抗コリン薬などを処方してもらうことが可能です。
これはあくまでも対症療法なので、突発性膀胱炎を完治させることはできません。
自宅治療では猫の生活環境を整え、ストレス管理をしてあげましょう。
当サイトで購入可能な膀胱炎のお薬

犬と猫にとって泌尿器系の病気は発症しやすいものです。
膀胱炎になってしまうと様々な症状が見られたり他の病気に繋がったりしますが、ペットには元気でいてほしいですよね。
そこで、膀胱炎に効果のあるバイトリル錠(バイロシン)とネフロテックDSを紹介します。
どちらも犬・猫どちらにも使用できます。
バイトリル錠(バイロシン)は、膀胱炎など尿路感染症の治療に用いられます。
有効成分のエンフロキサシンは幅広い細菌に対する強力な殺菌効果があります。
ネフロテックDSは、結石の分解と再発予防、利尿作用によるデトックスのサポート、尿路の抗菌などが期待できる天然ハーブ配合のサプリメントです。
ネフロテックDSは膀胱内粘膜に付着した結石を天然の成分で分解し、また再発の防止が期待できます。
そして利尿作用によって溜まった尿や毒素を排出します。
さらに天然ハーブの抗菌・殺菌作用で、尿路感染症の再発防止をサポートします。
犬と猫の膀胱炎について紹介してきましたがいかかでしたか?
トイレの回数が増えたり、尿に血が混じったりしている様子が見られたら。膀胱炎になっている可能性があります。
膀胱炎には様々な原因があり、原因によって予防法や治療法も変わってきますので、原因に合った適切な治療を行うためにもまずは動物病院で診察を受けるようにしましょう。