フィラリア予防薬
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犬用のフィラリア予防薬ミルベマイシンオキシムの錠剤です。1ヶ月1回の投薬で犬糸状虫症を予防します。また、消化器官内の寄生虫(回虫、鉤虫、鞭虫)に対しても強い駆虫効果を発揮します。
フィラリア予防薬について
フィラリア症は感染すると動物の心臓や肺動脈に糸状の寄生虫がわいて健康を害し、命を奪う恐ろしい病気です。
発症してしまうと完治は難しい病気ですが、飼い主がフィラリア予防薬を正しく投与してあげることで発症を防ぐことができます。
ここではフィラリア予防薬にはどのような種類があるのか、どのように選べばよいのかなどを解説しています。
みなさんの大切なペットがフィラリア症に苦しむことがないよう、フィラリア予防薬について一緒に学んでいきましょう。
フィラリア症の予防

フィラリア症はきちんと予防を行っていれば100%防ぐことができる病気です。
フィラリア症の予防にはワクチンがないため、毎年蚊の発生時期を見計らってフィラリア予防薬を定期的に投与します。
ここではフィラリア予防薬の働きについて解説します。
フィラリアは蚊を媒介として第3期幼虫の状態で動物の体に侵入しますが、すぐに心臓や肺動脈で悪さをし始めるわけではありません。
フィラリアは血管内に移動を始める第5期幼虫に成長するまでは、感染後2〜3ヶ月の期間、皮下組織や筋肉、脂肪の中に潜んでいるのです。
そこでまだ、フィラリアの幼虫が弱く、皮下に留まっている内に駆虫薬で一掃することで血管内への侵入を防ぐことができます。
これを毎月行うことでフィラリア症の発症を防ぐのがフィラリア予防の基本です。
つまりフィラリア予防薬とはワクチンのように抗体を持たせたり、感染自体を防ぐものではなく、厳密には第4期以前のフィラリア幼虫を殺す駆除薬なのです。
このために、フィラリア予防薬を投与するにあたっては、いくつか注意しなければならないことがあります。
事前にフィラリア検査を受ける
すでに動物がフィラリアに感染していた場合、動物の体内には成虫が産んだ第1期幼虫であるミクロフィラリアがいる可能性があります。
この状態でフィラリア予防薬を投与してしまうと、動物の体内には駆除された大量のミクロフィラリアの死骸が発生します。
この死骸がアレルギー物質となり、体内の免疫反応によってアナフィラキシーショックという激しいショック反応を起こす可能性があります。
このアナフィラキシーショックを防ぐためには動物病院で血液検査を行い、すでにミクロフィラリアが寄生していないかを確認します。
そしてミクロフィラリアが寄生していないこと、つまり安全が確認されてから、フィラリア予防薬の投与を開始します。
特にこれまで一度もフィラリア予防を行っていないペットは必ず検査を行いましょう。
フィラリアの予防期間を守る

フィラリアの予防期間は蚊の発生の1ヶ月後から蚊の終息の1ヶ月後で、毎月1回定期的にフィラリア予防薬を投与します。
つまり、もし4月に蚊を見つけたら5月から投与を開始し、毎月1回薬を与え続けます。
そして11月に最近蚊を見かけていないと気づいたら、12月に最後の投与を行って完了となります。
なぜ1ヶ月ずらして投与するのかというと、その理由はフィラリアの生態にあります。
フィラリアが感染するとしばらくは皮下組織や筋肉で成長するため、ある程度の間隔を空けてから一掃した方が効率がよいのです。
また、蚊がいなくなっても、同じように皮膚の下にフィラリアの幼虫がいることがあります。
そのため1ヶ月後に投与して最後の幼虫を駆除する必要があるのです。
この最後の投与はとても重要ですので、最後まで忘れずに投与しましょう。
不安な場合は念のためにもう1ヶ月後にも投与するとより確実です。
蚊の発生時期は地域やその年の気候によって変わりますので、詳しくは最寄りの獣医師に確認すると良いでしょう。
近年では温暖化の影響などもあり、蚊の生態にも変化が生じ、本来はいないはずの冬ですら蚊が見られることがあります。
またイエカは建物の中で成虫のまま越冬することも知られています。
そのため、フィラリア症の専門学会では一年を通して予防することを推奨しています。
毎月決まった日付に投与する
フィラリアの予防期間中は必ず毎月1回フィラリア予防薬を投与して幼虫の定期駆虫を行います。
次々と感染してくるフィラリア幼虫はしばらくは皮下に留まっていますが、2〜3ヶ月経つと成長してフィラリア予防薬が効かなくなってしまいます。
そのため、まだ未成熟な感染後1ヶ月前後で駆除してしまう必要があるのです。
うっかり投与し忘れてしまうのを防ぐためにも毎月同じ日付で与えることが推奨されています。
スマホで投薬日を知らせてくれるアプリなどもありますので、利用してみてもよいかもしれません。
もし薬のあげ忘れで1ヶ月以上投薬期間が空いてしまった場合は、最後の投薬から2ヶ月空くことになり、第5期幼虫がいる可能性があるので必ず獣医師の指示を仰ぐようにしましょう。
フィラリアの検査

フィラリア予防薬の投与を始める前には、必ず動物病院で血液検査を行い第1期幼虫であるミクロフィラリアの有無を確認しておく必要があります。
予防薬の駆除効果によって血中のミクロフィラリアが大量に死滅した場合、強いアナフィラキシーショックを起こす危険性があるからです。
検査方法はいくつかありそれぞれ費用が異なります。
病院によっても費用が変わりますので、予め幾つかの病院に料金を相談するといいかもしれません。
具体的な検査法として、顕微鏡でミクロフィラリアの有無を検査する直接検査法、毛細血管検査法、レントゲン検査法、抗原検査法などがありますが、病院の方針などで決められてしまう場合があります。
実際にかかる費用としては一番簡易な直接検査法で1,000円程度、抗原検査で2,000円程度かと思われます。
昨年のフィラリア予防薬の投与を適切に行っていなかった場合は全身を検査することがあり、この場合は3,000円から高い場合で10,000円近くの請求となるようです。
また、猫の場合は寄生している個体数が少ないため、簡易な検査では発見できない場合があります。
一度詳しく検査してもらった後は毎年欠かさず、可能であれば通年の投与でフィラリア予防薬を与えるようにしましょう。
フィラリア予防薬の選び方

フィラリア予防薬は種類が多すぎてどれを選んでいいのか分からないとのお声を目にすることがよくあります。
既に動物病院でお薬を処方されているのであれば、同じお薬をお選びいただければ間違いありません。
しかし、体重が変わったり、引っ越しなどで飼育環境が変わった場合はお薬を見直す必要があるかもしれません。
フィラリア予防自体が初めてということでしたら、この項を参考にしていただければと思います。
当サイトでは動物病院でも人気のお薬に加え、お買い得なジェネリック医薬品(後発薬)や日本未発売の新薬のご用意もございます。
せっかく個人輸入をされるのですから、目的、使いやすさ、ご予算などに応じた最適なものをお選び頂ければと思います。
なお、フィラリア予防だけを考えた場合、基本的にはどれを選んでも予防効果に違いはありません。
どのお薬も100%フィラリアを予防することができますのでご安心ください。
対策する寄生虫によって選ぶ
フィラリア予防薬に使われる成分には様々なものがありますが、どの成分も単体でフィラリアだけでなく同じ耳ダニ、線虫類(回虫)や鞭虫などの一部の腸内寄生虫も駆除することができます。
最近では、ノミやマダニ、条虫類などに効く成分を配合して対策できる範囲を広げた混合タイプも出てきています。
特に緑の多い地域では様々な寄生虫の対策が必要ですので、フィラリア予防とノミ、マダニ、主な腸内寄生虫の予防、駆除が一つになったオールインワンタイプが人気です。
そうしたお薬の値段はフィラリア単体のお薬よりも高価ですが、複数のお薬を別々に購入するよりも安く済ませることができます。
また、一回の投与でまとめて済ませることができるので大変便利です。
一方、完全室内飼いの猫などであれば最もシンプルなフィラリア予防薬でも十分です。
しかし他の動物との接触や、ゴキブリなどの虫を捕まえる癖がある猫にはノミや腸内寄生虫への注意が必要かもしれません。
このようにフィラリア予防薬はペットの飼育環境に応じて使い分けると良いでしょう。
・フィラリア予防だけを考えた場合
フィラリア予防だけを考えた場合、どの予防薬を選んでも違いはありません。
ミルベマイシンA錠、カルドメックチュアブル、レボリューション、ストロングホールドなどから投与が簡単で、お求めになりやすい価格のお薬を選ぶと良いでしょう。
・フィラリア予防 + ノミ予防・駆除には
ノミは一度発生してしまうと駆除しても駆除しても次々と湧いてきて、根絶するのは一筋縄ではいきません。
動物を室内に入れる際にノミは最も注意が必要な寄生虫です。
それだけにフィラリア予防薬にもノミ対策が可能なお薬がたくさんあります。
ノミの対策は年間を通して必要ですが、フィラリア予防の時期はお薬をまとめてしまった方がペットへの負担が少なく、お薬代も節約になります。
レボリューション、ストロングホールド、アドボケート、ブロードライン、ネクスガードスペクトラ、パノラミスなどがフィラリアと一緒にノミを駆除できるお薬です。
・フィラリア予防 + マダニ予防・駆除には
ここ数年、その危険性が注意喚起されるマダニ。
都市部であっても緑のある公園などに外出する場合は要注意です。
マダニに噛まれることで致死性のウィルスに感染し、ペットだけでなくペットを介して飼い主の命も危険にさらされます。
フィラリアのついでに予防できるなら、するに越したことはありません。
マダニ予防・駆除も兼ねるフィラリア予防薬には猫用であればブロードライン、犬用であればネクスガードスペクトラ、パノラミスがあります。
・フィラリア予防 + 腸内寄生虫駆除には
腸内寄生虫は主にフンに混ざった虫卵がペットの口に入ることで感染しますが、回虫や鉤虫は妊娠中に母子感染することもあります。
条虫類はネズミやカエル、ヘビなどの中間宿主を捕食することでも感染しますので、狩りの習慣があるペットは注意が必要です。
また、同じ条虫類の瓜実条虫はノミを中間宿主としており、グルーミングの際に誤飲して感染することがあります。
ノミが発生した場合はノミの駆除だけでなく、瓜実条虫への警戒も必要です。
瓜実条虫、多包条虫(エキノコックス)などの条虫類にはインターセプターSチュアブル、ブロードライン、センチネルスペクトラムが有効ですが、ノミも同時に退治できるブロードラインは(猫専用)はとても便利です。
回虫はネズミ、ミミズ、ゴキブリも中間宿主になりますので、外出するペットやペットを飼い始めてからネズミやゴキブリの出現頻度が低下したというご家庭は要注意です。
回虫、鉤虫、鞭虫であれば、インターセプター、ブロードライン、センチネルスペクトラム、ネクスガードスペクトラ、パノラミス、アドボケート、カルドメックなどで駆除することができます。
有効成分に注意する
一般的にコリー系統の犬種(コリー、ボーダーコリー、シェルティー、オールドイングリッシュシープドッグなど)やその血を引く雑種は遺伝的にフィラリア予防薬に対して副作用を起こしやすく、特にイベルメクチンは副作用の危険性が高いと言われています。
しかしそれはフィラリア予防薬に使用されるイベルメクチンの30倍以上の高用量で使用した場合の話であり、実際にはフィラリア予防薬に含まれる量では問題ないというのが大方の見解です。
とは言っても、やはりコリー種へのイベルメクチンの投与は慎重に行うべきで、獣医師の判断に任せた方がよさそうです。
現在動物病院で処方されているのであれば、そのまま同じ物をお使い頂ければよいでしょう。
安全性が気になるようでしたら、イベルメクチン以外の成分のお薬を検討してみてはいかがでしょうか。
特にセラメクチンが主成分のレボリューションかストロングホールドであればコリー系統への安全が確立されているので安心です。
・イベルメクチンを含むお薬
イベルメクチンを含むフィラリア予防薬にはカルドメックやそのジェネリックなどがあります。
てんかんを発症したことがある犬は要注意です。
コリー系統の犬種には禁忌というイメージがあり、敬遠される飼い主さんが多いようです。
そのため動物病院でもコリー系統に処方されることは少ないようです。
・ミルベマイシンオキシムを含むお薬
ミルベマイシンオキシムを含むフィラリア予防薬にはパノラミス、ネクスガードスペクトラ、インターセプター、ミルベマイシン、センチネルスペクトラムなどがあります。
コリー系統の犬種にも比較的安全に投与できることから様々なフィラリア予防薬に用いられていますが、コリー系統の犬種は用法・用量を厳守する必要があります。
・セラメクチンを含むお薬
セラメクチンは単体でフィラリアとノミ、猫回虫に効きます。
コリー系統の犬種を含む犬や猫、フェレットへの安全性が高いとされています。
セラメクチン単体のフィラリア予防薬としてはレボリューションとストロングホールドがありますが、複数の成分を配合した予防薬よりも副作用のリスクを抑えることができます。
・モキシデクチンを含むお薬
モキシデクチンを含むフィラリア予防薬にはアドボケートがあります。
コリー系統の犬種にモキシデクチンを経口投与すると副作用が出る場合があります。
モキシデクチン含有のスポット剤を使用する際には犬が滴下部を舐めないよう注意が必要です。
また他の犬種への使用でも、一緒にコリー系統の犬種を飼っている場合は同じく注意が必要です。
・エプリノメクチンを含むお薬
猫用のフィリアリア予防成分としてブロードラインに含まれる成分です。
滴下部を舐めないように注意が必要です。
お薬の形状で選ぶ
フィラリアの予防薬は大きく分けて経口投与するタイプと液剤を皮膚に垂らすタイプ、注射するタイプの3種類があります。
経口投与で最もシンプルな物は顆粒タイプのお薬ですが、お薬が苦手なペットに投与するにはフードに混ぜるなどの工夫が必要となります。
ミルベマイシンA錠やパノラミス錠などの錠剤のフィラリア予防薬はペットが好むフレーバーが付いているので、比較的容易に経口投与することができます。
食べるのを嫌がるようであれば、こちらもまたフードやおやつなどに隠して飲ませるか、口を開いて強制的に投与します。
こうした苦労を解決するのがネクスガードスペクトラやカルドメックチュアブルのようなチュアブルタイプのお薬で、柔らかいトリーツにお薬の成分を混ぜ込んであります。
ほとんどのペットがお薬と気付かずに喜んで食べるほど美味しく作られているため、投与に手間がかかりません。
経口投与が苦手なペットには液状のお薬を皮膚に垂らして使用するスポットタイプのお薬がよいでしょう。
現在猫のフィラリア予防薬は全てこのスポットタイプになります。
注射によるフィラリア予防は動物病院で行ってもらえます。
効果が一年、または半年と長く続きます。反面、ペットの体やメンタル面への負担や副作用が大きいというデメリットがあります。
・錠剤のフィラリア予防薬
ミルベマイシンA錠、パノラミス錠、キウォフハート、バジルガードプラス
・チュアブルタイプのフィラリア予防薬
ネクスガードスペクトラ、インターセプター、カルドメックチュアブル、ストロングハートプラス、ハートプロテクトプラス、センチネルスペクトラム
・スポットタイプのフィラリア予防薬
アドボケート、ブロードライン、レボリューション、ストロングホールド
ペットの体重
フィラリア予防薬はペットの体重に対して適切な用量が変わるため、体重別に細かく分類されています。
そのため、フィラリア予防薬を購入する前にペットの体重を量る必要があります。
ペットも人間と同じように食事量や運動量、年齢や体調によって体重が増減します。
特に成長期の子犬・子猫は体重の変動が大きく、昨年と同じサイズのお薬では不十分な場合があります。
必ず事前に体重を測定し、適切な用量のお薬を選ぶようにしましょう。
このようにフィラリア予防薬の選び方は、他に対策する寄生虫、有効成分、お薬の形状などを考えて選ぶようにするとよいでしょう。
詳しくはこのページ上段のフィラリア予防薬の種類をご参照ください。
フィラリア症とは

フィラリア症は蚊を媒介にしたフィラリア(犬糸状虫)という寄生虫が動物の心臓や肺動脈に寄生して起こる病気です。
フィラリアとは犬糸状虫の名前の通り、そうめんのような形状の白く細長い寄生虫で、成長するとオスで12〜18cm、メスでは25〜30cmほどの長さになります。
英語圏では通称ハートワーム(HEARTWORM)と言われていて、文字通り心臓に寄生するミミズ状の生物として認識されています。
心臓の寄生虫というイメージは日本でも同じかと思いますが、実はフィラリアは心臓というよりは、心臓から肺へ向かう肺動脈へ寄生していると言ったほうが正確でしょう。
フィラリアは血流に乗って心臓内右心室から肺動脈へ流れていきますが、肺動脈の末端付近で引っかかってしまい、そこに寄生し、死ぬまで成長を続けます。

また、フィラリアが感染したということは近くに感染源となった動物がいるということです。
飼い主が予防をせずに放置しておくと、次々とフィラリアの侵入を許すこととなり、最後には何十匹ものフィラリアがそうめんの塊のようになって心臓や肺動脈に巣食い、大動脈症候群(急性犬糸状虫症)という急性症状を引き起こします。
治療が遅れるとほぼ間違いなく助かりません。
そんな恐ろしいフィラリア症も、きちんと予防薬を与えることで100%防ぐことができます。
そのため、動物病院では「ペットをフィラリアにさせてしまうのは、蚊ではなく飼い主である」と言われています。
飼い主がきちんと予防薬を与えていれば防げたものを、そうしなかったことが原因だからです。
幸いペットのフィラリアは私たち人間にはうつりませんが、仮に人にもうつると考えてみてください。
自分や家族の心臓に虫が湧くかもしれない病気を何の対策もせずに放置できるでしょうか。
フィラリアの感染経路

フィラリアはメスの蚊の吸血活動によって感染が広がっていきます。
フィラリアに感染した動物 → 蚊 → 他の動物
フィラリアのオスとメスが感染した動物の血液中には、幼虫であるミクロフィラリア(第1期幼虫・L1)がいます。
中間宿主である蚊がこの動物を吸血すると血液とともにミクロフィラリアが吸い込まれます。
ミクロフィラリアは蚊の体内で第3期幼虫(感染幼虫・L3)まで成長して動物への感染力を持つようになり、蚊のハリ(口吻)に移動して感染の機会を待ちます。
次にその蚊が他の動物を吸血する際、第3期幼虫はハリを通って動物の体内に侵入するのです。
こうしてフィラリアの幼虫が感染するのですが、侵入してすぐの段階ではフィラリア症を発症せず、健康には何の変化もありません。
第3期幼虫はすぐには心臓を目指さずに動物の皮下脂肪や筋肉に留まり、2〜3ヶ月かけて2回の脱皮を行いながら体長2.5ほどの第5期幼虫まで成長します。
第5期幼虫まで成長すると静脈に侵入し、血流に乗って心臓を経由して肺動脈の末端まで運ばれて成虫へと成長します。
そして感染後、体内につがいの成虫がいた場合、犬で6ヶ月、猫で7ヶ月後には交尾によってミクロフィラリアを産出するようになり、更に感染を拡大させることになります。
成虫の寿命は犬で5〜7年、猫で2〜3年とされており、駆除しない限りミクロフィラリアを産み続けることになります。
蚊を介さない限りは成虫が増えることはありませんが、一度吸血された蚊に刺されて第3期幼虫が戻ってきた場合は成虫が増えることになります。
フィラリア症の症状

フィラリア症は犬の場合、寄生数が少ないときは表立った症状は現れません。
そのため、吐血や血尿などの大きな症状が現れたときには末期的な状態であり、いざ治療のために切開してみると数十匹の成虫が塊となって心臓付近で蠢いていたというケースが少なくありません。
具体的な症状としては、初期にはゼーゼーと息苦しいそぶりを見せたり、咳きこむなどの兆候があります。
また、疲れやすく、散歩してもすぐに休んだりと体力の低下がみられます。
次第に食欲不振や嘔吐、寝込みがちになる、腹水が溜まってお腹が膨らむ、吐血、血尿が出るなどの症状が現れます。
最終的には心臓や肺、肝臓、腎臓といった内臓の機能に甚大なダメージを受け、苦しみながら最期を迎えます。
一方、猫の場合は犬よりも重篤化しやすいとされています。
しかし猫の場合、最初から最後まで無症状であることがほとんどです。
寄生数が増えるに従って咳をするようになりますが、これを猫風邪や猫喘息と誤診してしまうことが少なくありません。
そのため、感染に気が付かずに放置されてしまうことが多いようです。
そして放置されたフィラリアが心臓から大静脈に移動すると、呼吸困難や血尿を引き起こし数日で死亡してしまいます。
その他にも成虫が寿命などで死滅することで死骸が血管を詰まらせたり、死骸が発する有害物質により重度のアレルギー症状を起こしてショック死してしまうこともあります。
初期症状がみられても年齢による体力の低下や風邪のせいだと思って見過ごしてしまいがちですが、これまで予防をしていないのであれば、フィラリアの可能性も疑ってみた方が賢明です。
猫のフィラリア症

フィラリア症は犬だけの病気と思っている方が多く、実は猫にも感染するということはあまり知られていません。
しかし、猫のフィラリアの症状は特徴が少なく、他の病気と区別がつかないため発見は困難とされています。
猫の場合は犬と異なり、10日ほど続く軽い咳のような症状がほとんどで、飼い主がこれを単なる風邪だと勘違いして放置してしまったり、獣医ですら猫喘息と誤診をしてしまうほど見極めが難しいそうです。
そして、感染に気がつかないまま、たった2匹のフィラリアに寄生されたことが原因で突然死を起こしたという症例もあります。

これを背景に2010年に発表された猫のフィラリア感染に関する調査では、室内外での飼育に関わらず10頭に1頭の猫が感染しているという調査結果が出ています。
また、ある製薬会社の統計データでは、ペットにフィラリアの予防対策をせずに1シーズン過ごしてしまうと30%以上、3年放置すると90%の確率で感染のリスクがあるとされています。
もちろん、フィラリアに感染する確率は飼育環境によって変わってきますが、室内飼育だから安心という訳にはいきません。
部屋から一切出さない家猫だとしてもフィラリアの予防は必要です。
近所の猫の10頭に1頭が感染源となっているわけですから、玄関や窓から侵入してきた蚊がフィラリアを媒介している可能性は決して低くありません。
フィラリア症の治療方法
フィラリア症は原因となっている成虫の駆除を行うことが主な治療となります。
治療法の一つに外科的な成虫の摘出があります。
麻酔をかけて頚静脈から鉗子を挿入して心臓や肺動脈内の虫体を摘出するのですが、肺動脈の末端にいる成虫については血管を傷つけずに摘出することは非常に困難とされています。
また、手術ができるのは十分に体力のあるペットに限られます。
次に成虫の駆除薬を投与する方法があります。
成虫を駆除するヒ素系の駆虫薬を注射するのですが、死骸が動脈の末端で詰まることで起きる副作用を抑えるため、ステロイドを併用したり、二段階に分けて駆除を行います。
治療に耐えられる体力がないペットの場合は、フィラリア予防薬で新たな感染を防ぎながら、今いる成虫の寿命を待ちます。
どのような治療方法が選ばれるかは、その時におけるペットの年齢や体力、成虫の数、飼い主の経済状況によって選択することになります。
しかし、治療により全ての成虫を駆除できたとしても、元の健康状態は取り戻せないということに留意する必要があります。
一度傷ついた血管や臓器のダメージが完全に回復することは難しく、多かれ少なかれハンデを抱えたまま生活していくことになります。
また、治療費も決して安いものではなく、結果的に予防薬の総額よりも高額になります。
結局、感染する前に予防することがペットにとっても飼い主にとっても最良の治療法なのです。