抗生物質・抗菌剤
真菌の細胞膜合成を阻害することで殺菌効果を示し、真菌感染症による症状を改善します。
アゾール系の有効成分イトラコナゾール配合で、真菌の細胞膜合成を阻害することで症状を改善します。
真菌の細胞膜合成を阻害することで殺菌し、真菌感染症による皮膚の症状を改善します。
高い安全性で副作用が少ないため、広くヘルペスの治療に使用されています。
有効成分が菌の増殖を抑えることで、細菌性感染症のさまざまな症状を緩和します。
幅広い細菌性感染症に対し効果を示します。
幅広い抗菌スペクトルを持っており、さまざま菌に対して効果があります。
細菌のたんぱく質合成を阻害することで細菌感染症によるさまざまな症状を治療します。
パセトシン錠ジェネリックはペニシリン系抗生物質です。
多くのグラム陽性菌・陰性菌に対して効果を発揮します。
有効成分アモキシシリン配合で、細菌の細胞壁合成を阻害し、細菌性感染症の症状を改善する効果があります。
抗炎症作用により、細菌性感染症の症状(炎症、化膿など)を改善します。
主にクラミジア、淋病、咽頭炎、尿道炎などの感染症に高い効果を発揮します。
液状なので水に希釈して与えることができるため、投薬の手間がかかりません。
【消化器、呼吸器感染症】
うさぎ、げっ歯類、爬虫類、鳥類
【皮膚感染症】
うさぎ
グラム陽性菌やグラム陰性菌、リケッチア、マイコプラズマ、クラミジアなどへ広い抗菌作用を示します。
二つの有効成分によって抗炎症や痒みを抑える作用、抗菌作用を発揮するため、高い治療効果が期待できます。
液状でシリンジ付きなので簡単に投与できます。
消化器、呼吸器、皮膚感染症の治療薬として使われます。
細菌のタンパク質の成長を阻害して増殖を抑制する静菌性の抗生物質ですが、高用量では殺菌的に作用します。
多くの微生物への殺作用があり、トリコモナス症、ジアルジア症をはじめ、炎症性腸疾患など様々な症状の治療に用いられます。
犬の場合1日2回の12時間ごと、猫の場合は1日1回投与で効果を発揮します。
有効成分のポビドンヨードが広範囲なウイルス、細菌、真菌に対し効果を示します。
ブドウ球菌、レンサ球菌、大腸菌、肺炎桿菌、クラミジア属、パスツレラ属菌など幅広い種類の菌への効果があります。
有効成分ミノサイクリンが、細菌のたんぱく質合成を阻害することで細菌の増殖を抑え、細菌性感染症のさまざまな症状を緩和します。
マラセチア皮膚炎や皮膚糸状菌症、カンジダ症の治療に有効です。
内服薬なので、深在性真菌症にも効果があります。
タリビッドジェネリックは細菌性感染症を治療するニューキノロン系の抗生物質です。
有効成分のオフロキサシンで、細菌のDNAの複製を阻害することで増殖を抑え、細菌性感染症の症状を改善します。
ペットの抗生物質と抗菌剤について
犬や猫と暮らしている飼い主さんであれば、一度は抗生物質や抗菌剤が処方されたことがあると思います。
細菌感染に絶大な効果を発揮し、役に立ち続けている抗生物質と抗菌剤。
ペットの皮膚病や消化器の疾患などの、細菌感染症に用いられているのです。
しかし私たち人間の場合と同様に、抗生物質・抗菌剤は耐性菌や副作用といった問題もあります。
ペットの治療に用いられる、抗生物質・抗菌剤について飼い主さんがしっかり理解しておかなければなりません。
耐性菌や副作用なども含めて見ていきましょう。
抗生物資・抗菌剤とは

感染症の治療薬には「抗生物質」と「抗菌剤」があります。
抗生物質と抗菌剤は同じもののようですが、実は違うのです。
抗生物質
抗生物質とは、「微生物が作った化学物質」のことを指します。
ペニシリンという世界初の抗生物質は、微生物の一種である青カビから発見されました。
カビは厳密に言えば真菌で、菌の一つです。
微生物であるカビが作った病原微生物を殺す作用のある化学物質なので、ペニシリンは抗生物質ということになります。
抗菌剤
一方で抗菌剤は「人工合成で作られた病原微生物を殺す化学物質」です。
技術の進歩によって人間の手でも病原微生物に対抗する化学物質を作り出せるようになったのです。
この物質を「微生物に作られた化学物質」という定義に当てはめることはできず、抗菌剤という言葉が登場しました。
現在は抗生物質や人工合成された化学物質の全てをまとめて、抗菌剤と表現されます。
抗菌剤という大きな枠の中に、抗生物質が入っているというイメージを持つと良いでしょう。
抗生物質の種類と効果

抗菌剤には、抗生物質と合成抗菌剤が存在します。
抗生物質
・ベータラクタム系抗生物質
・ペニシリン系
・セフェム系第一世代
・セフェム第三世代
・アミノグリコシド系
・クロラムフェニコール系
・テトラサイクリン系
・マクロライド系
感染症によって投与するものは異なります。
細菌の細胞壁の生成を阻害し、増殖と活動を抑制する働きがあります。
合成抗菌剤
・サルファ剤
・ニューキノロン系
これらは膀胱炎や尿道炎などの尿路感染症の治療に用いられることが多くあります。
ですがサルファ剤は耐性ができやすくなっています。
またキノロン系は強力でどの細菌にも効果がある広範囲な抗生物質ですが、耐性菌ができてしまう可能性も否定はできません。
抗生物質と膀胱炎

ウイルスにではなく、細菌に効果を発揮するのが抗生物質です。
抗生物質は細菌を弱めて倒すことが、主な役割となります。
ペットが何らかの疾患を発症した際に抗生物質の投与を行い、細菌の働きを抑制します。
細菌の働きが弱くなっている間に、ペット自身に備わっている免疫機能などで体を守り、回復させます。
つまり、抗生物質はサポート役でしかないのです。
根本的な原因である細菌を退治するのが役割であり、炎症や痒み、痛みなどを治す機能は持っていません。
ペットの免疫力と体力が備わっていてこそ、より効果を感じることができるのです。
ペット自身の免疫力や体力が低下している際には、効き目が遅いかもしれません。
抗生物質は皮膚炎、気管支炎、内臓疾患、関節炎など様々な場合に用いられます。
その数ある病気の中でも抗生物質が使用される病気で、膀胱炎がよく知られています。
膀胱炎
犬と猫は泌尿器系の病気を発症しやすいですが、その中でも特に膀胱炎が多いと言われます。
そして膀胱炎は治りにくく、完治したとしても再発を繰り返すことが多いとても厄介な病気です。
犬の場合の膀胱炎の原因は以下の3つがあります。
・細菌感染
・腫瘍や外傷
・結石や結晶
細菌感染が最も多い原因となります。
ブドウ球菌や大腸菌への感染から、発症してしまうことがほとんどです。
これらの細菌が尿道から尿管を経由し、膀胱に達することで膀胱炎になります。
猫の場合は以下です。
・結晶
・細菌感染
・突発性
猫の膀胱炎の原因は、結晶によるものが多く見られます。
オス猫は尿道が細いので、結晶によって尿路の閉塞を起こす危険性があるので要注意です。
また猫には突発性膀胱炎というものがあります。
この突発性膀胱炎は、原因が分からない膀胱炎のことを指します。
猫は非常にデリケートな生き物なので、ストレスが原因となっているのではないかと言われています。
膀胱炎の症状は犬と猫共通しているものが多いです。
・尿の臭いや色の濁りの変化
・頻尿(トイレの回数が増える)
・排尿時に痛がって鳴く
・元気や食欲がなくなる
・血尿
・水を飲む量が増える
・尿が出なくなる
・お腹などを舐め続ける
・トイレ以外での排尿
このような症状が現れたら、膀胱炎を発症している可能性が非常に高いです。
膀胱炎の治療に用いられる抗生物質は、
・ニューキノロン系:大腸菌に効果が大きい
・セフェム系:種類が多く幅広く使われている
・ペニシリン系:世界初の抗生物質
といった3種類のものになります。
膀胱炎の原因菌として一番多い大腸菌に対して最も効き目が強いのは、ニューキノロン系です。
ニューキノロン系→セフェム系→ペニシリン系と続きます。
そのため膀胱炎など尿路感染症の治療では、ニューキノロン系のお薬が第一選択となる場合が多いです。
耐性菌と副作用

抗生物質を使用する上で、「耐性菌」と「副作用」について、しっかり頭に入れておいたほうが良いでしょう。
耐性菌
抗生物質を使用するうえで「耐性菌」という存在を忘れてはいけません。
抗生物質での治療を続けているうちに、効果に耐性のある菌が偶発的に発生してしまう状態のことです。
ペットの個体差や膀胱炎の状況にもよりますので、抗生物質を止めるタイミングは検査をしてからにしましょう。
抗生物質は効き目が早ければ、投与してから1~2日で症状が治まってくることがあります。
しかし、そこで飼い主さんの判断で治療を中断してはいけません。
その段階ではまだ体内に細菌が残っているのが普通です。
そしてその状態で抗生物質を止めてしまうと、残っている細菌がまた増殖し、膀胱炎が再発してしまうのです。
抗生剤の投与と中断、再発を繰り返していればその都度残っていた細菌がお薬に慣れて、効かなくなるということが起こってしまいます。
これが耐性菌と言われるものです。
副作用
副作用はどのタイプのお薬でも起こりえるものです。
しかし抗生物質の場合は特に、胃腸障害の副作用が起こることがあり、
・腹痛
・嘔吐
・下痢
などが比較的多く現れます。
他にも、皮膚や全身性の副作用で
・痒み
・湿疹(じん麻疹)
・倦怠感
などが見られることもあり、さらに稀な例ですが、
・むくみ
・息切れ
・黄疸
・めまい
・貧血
・アナフィラキシーショック
が引き起こされる危険性もあります。
抗生物質は特定の悪い菌だけに効果的なのではなく、良い細菌(善玉菌など)にも作用してしまうので、副作用が起こります。
良い細菌にも影響があれば、当然腸内バランスが崩れてしまいます。
抗生物質には、様々な種類のものがあるのでペットの体質によっては合わないこともあります。
その場合は抗生物質の投与を一度止め、病院に問い合わせてください。
お薬を変更して、他の抗生物質で対応するようにしましょう。
まとめ

抗生物質について、副作用などの説明などをしてきましたがいかがでしたでしょうか?
抗生物質には、注射や飲み薬、塗り薬、シャンプーなどいろいろな使い方があります。
それぞれ必要な場所や状態、効果に応じて獣医師さんが選んでお渡ししています。
抗生物質は耐性菌や副作用といった難しい点もありますが、正しく使用すれば病気に対して絶大な効果を発揮する頼もしいお薬です。
飼い主さんの判断で扱うのではなく、ペットの様子を見ながら獣医師さんと相談し最善の方法をとるようにすることが重要です。